広島の被爆70年(2015年8月)のアクションイベントとして、広島市立養護学校高等部の生徒たちと5mの巨大壁画の制作に挑戦。同行は、金子の友人、画家の鷲尾圭介氏。
夏休み中の8月25〜27日の三日間、学校の美術室と集会室を借り切って、HIROSHIMAとゲルニカとFukushimaをテーマに生徒たちと二枚の壁画を汗だらけになって描く。
初めて出会う生徒たちと広島の被爆やゲルニカ、フクシマについて話し合う。ゲルニカは絵として存在しているので生徒たちは受け止めやすいが、福島の原発崩壊は絵としてなかなかイメージができず、苦労する。
棒筆や綿棒やぞうきん筆、しっぽ筆など、彼らには初めての画材で四方八方から描き進めていった。生徒たちが描いた線や色彩がぶつかり合い、激しい波打つような絵になっていく。
観念的な戦争の悲惨さや平和の尊さを超えた体の奥底から生まれて来るエネルギーが大きな画布に広がっていく。
生乾きの絵の具に混じった汗が広島の夏の暑さを体に刻んでいく。
描き終えて、風の吹く窓辺に立つと、70年前の原爆が投下された日もこんなに暑かったのだろうかとふと思った。忘れられない夏の三日間となった。
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