これまでの主なアート展

有一ing展 in 藤沢蔵まえギャラリー

 2015年、藤沢で書家の井上有一生誕100年を記念するとても面白い展覧会をやった。

 メインは10月28日〜11月7日の井上有一に触発された作家や書家、陶芸家など様々なジャンルの表現者による作品展「有一ing展」なのだが、そこに向かって、出展者たちが集まり様々なワークショップを積み重ねて作品を制作、それを出展しようというほぼ一年がかりの展覧会なのだ。

参加者は有一の遺した書や線表現に触発され、新たな表現を見つけ出そうとしている人たち。そこにフェースの仲間たちも参加した。

 1月から始まったワークショップでは、仲間たちはすぐに得意の棒筆でダンボール片に宮沢賢治の言葉を一字一字書いたり、大きな和紙に自由に線を走らせたり、自在に活動を楽しむのだが、プロの絵描きさんや書家さんたちは持ちなれないくにゃくにゃしたしっぽ筆やぞうきん筆に戸惑ったり、なんでもありの線表現にどうしてよいかわからず途方にくれたたり・・・その対比が面白い。作品の評価なんか気にせず、自分の思うままに線を楽しむ・・・ワークショップを続けいていくと有一は今も生き続けていて、日々の想いが聞こえてきたような気になったりする。

 それでいいのか?自分の殻を破っているのか?既成のものなんか信用するな!自分を信じて行けるところまで行けよ!

 ごつい風貌の有一は怖く見えるけれど、最も仲間たちと表現を楽しむことのできる希有の書家だったのではないかと僕は思う。

 展覧会のタイトル名『有一ing』展はそんなみんなの中で生き続けている想いからつけられたものだ。