■『生命の脈動に触れる表現者展』
ちょっと仰々しいネーミングでフェースofワンダーの作品展を中国の河南省嵩山少林寺に居を構える十方芸術館でやった。
中国という風土、文化、歴史の違いを実感した作品展。日本では笑ってしまうほどのネーミングもここでは違和感はない。
アートの概念も深くて広大無辺。
「表現はなんでもあり」であるということを時間させてくれる貴重な時間だった。
ボクらを受け入れてくれたのは、十方芸術という芸術家集団。上海や北京、香港の画壇が君臨する過熱気味なアート潮流に飽き足らない若者たちが中国各地から集まってきている。その表現領域も多彩。書家や篆刻家、絵描き、坊主、拳法家・・・いろいろな分野で活躍し、嵩山という山の霊気に触れ、自分たちの表現を見つめ直し、新たな芸術/表現潮流を作り出そうとしてる。そんな彼らだから、フェースofワンダーの仲間たちの表現もまっすぐ受け止めてくれたのだ。
十方芸術の創設者は一了という書家、絵描き、坊主、評論家・・・肩書きなんかどうでもいいけれど、彼がボクの要望を快く受け入れてくれて、この作品展は実現した。
彼と会ったのは、2016年12月に北京の紫禁城大廟芸術館で開かれた書家井上有一の生誕百周年記念展『書法的解放』の会場だ。井上有一に触発された中国の書家や絵描き、陶芸家が参加した大々的な作品展で、一了も「大風起東」という5m近い作品を出していた。そして、なぜかボクの作品(この作品展の日本側企画者海上雅臣と有一の背をコラージュしたもの)も日本人としてただ一人飾られることになり、北京にいたのだ。
一了の作品に心を打たれたボクは、たまたま会場にいた彼と出会い、「あなたの作品とフェースofワンダーの仲間たちの作品は共通の命や呼吸をしているように思える」と持っていた仲間たちの画像を見せたのだ。すると彼は周りにいた他の芸術家にも声をかけ、「ほら、ここに俺たちが学ぶべき表現がある!」といったのだ。感激した。こんな表現者が中国にいるんだと驚きもした。
それから3年、やっと『生命の脈動に触れる表現者展』は実現した。どんな活動をそこでしたかは長くなったので省略するが、仲間たちの作品はなんのレッテルを貼られることもなく表現者の声、歌、詩、叫びとして存在した。
アートの持つ力を確信した作品展になった。