フェースofワンダーの世界2023


アートの森で

 

「ねえ、何描いてんの?」

「分かんないよ、手がかってに動いてるんだもん」

ふーん、すごい言葉だ。

「何描いてもいいよって言ったじゃん」

そうなんだよね。なんでもありのアートだもんね。

 

きみの描いた線をたどっていくと、

きいろの風が吹いてきたり、

灰色の泥だんごが転がってきて、

首をすくめたり、大きくのけぞったり・・・油断はできない。

それでも絡みあった色や線をかき分け進んでいくと、

きみの足跡のようなものが見えてくる。

それは不意に現れ、すぐに消え、

見えかくれしながら森の奥へと続いている。

 

ボクは、ジャンプしたり、寝っ転がったり、

突然、まっすぐ上に伸び上がったり、

自分ではどうにもならない不思議な動きを繰り返し、

迷路の森を行ったり来たり、途方にくれる。

 

ぐるぐる線は小さなピンクの池に渦巻き、

オレンジ色の水玉に変化し、きみの森はどんどん豊かになる。

 

「おもしろい?」

「んー、わかんないよ」

 

そうなんだよね。

おもしろがっているのはきっときみの手なんだよね。

きみの色や線は

そんな一筋縄ではいかないアートの森の案内図なのかもしれない。

いつかボクもそんな手を持つことができるのだろうか?

 

                     2023年5月3日 金子光史



 2023年5月3日から5日までの3日間 相模大野ボーノ3階ユニコムプラザで開かれたアートの森に、およそ850人から900人ほどの人たちが来場してくれました。

 

 作品を観るだけではなく、似顔絵を描いてもらったり、路上アートで自分が描いた絵と再会したりする人たちがたくさんいました。

 今回のアートの森にも多様な人たちの作品が並びました。入り口にはブランコに乗った女の子の絵や路上アートで完成したヒラメの大きな共同画が出迎えました。

 プロの方の作品と仲間たちの描いた絵や立体作品などが渾然一体となって多様性のあるジャングルのような森になっていたと思います。

 単に作品を鑑賞するだけではなく、作品を作り出す心地よさも感じられる空間になっていたのではないでしょうか。

 ホームページを見て、展示作業にボランティアとして参加してくださった方がたには本当にお世話になりました。この場を借りてお礼申し上げます。(ち)


はりはりアート

「はりはりアート」

 ダンボールアートの壁に囲まれた一角、屋根の型をした壁に色とりどりに塗られたダンボールやペットボトルの蓋や紐など様々な素材を貼り付けていく「はりはりアート」

小さな子供達はもちろん、大人たちも年齢を越えて人気がありました。

3日目を迎えた朝には、もう貼り付けることができないくらいになっていました。

「はりはりアート」は「アート玉」に変身していきました。「アート玉」は路上アートで登場予定です。お楽しみに。

パレスチナから吹く風(パレスチナの子供たちの作品)より

 奥の壁面にはパレスチナの子どもたちの作品が展示されました。日本から遠く離れた土地に住む子どもたちの絵は、紛争がある土地であっても、子どもたちの絵には、思いがけなく明るい色使いの絵やのびのびとした筆遣いの絵が多くありました。門のドア開けるとそこには銃を持った人の絵が描かれていて、まさに紛争地帯であることを思わせる作品もありました。

 そんな子どもたちに絵を指導された画家、上條陽子さんの絵は子どもたちの対面に見守る用に展示させていただきました。

 


似顔絵コーナー

今年初めて似顔絵を描いてみる気になった画家たちも何人もいました。初対面の人にでも臆することなくいっしょに楽しんで描いていくうちに、自信が湧いてきているようにも見えてきます。描いた人も描いてもらった人も笑顔になっています。昨年デビューした似顔絵画家のTOSHIKIさんはなんと会期中に延べ68人の似顔絵を描いたそうです!!



みんなが笑顔になっていく

今年は、ダンボールアートの巨匠がライブで作品作りをしてくれました。いっしょにダンボールをハサミで切る人も。本村相模原市長とも笑顔で写真に収まりました。

鉄で作られた蝶々や知恵の輪が、それを手にとった人と初めて出会った人とも会話が生まれ、笑顔が生まれていました。

カーペットの上に置かれた座卓。その上には色鉛筆と一冊の落書き帳。気がつくと一生懸命絵を描いている仲間たちの姿が。緩やかで豊かな時間と空間がありました。

 

アートは、人と人とを出逢わせ、そしてつながりを生み出していくようです。

 


アートの森の仲間たち

 『アートの森展 2023』

 

フェースofワンダの作家を中心にプロ・アマ・日本人・外国人様々な作家の作品が森を構成する樹木のように会場を埋めた。

 

路上アートに続き来場者と一緒に作るアートシーン、おなじみになった似顔絵画伯の活躍

 

作品から作品を渡り歩く来場者は、蜜を集める蜂や、木から木を渡り歩く森の住民の生き物たち。

受付を過ぎた瞬間「アートの森」の住民になる。そして同じアートの時間を共にした。

 

秋には路上アートが企画されている模様。新たな住民候補との出会いが楽しみだ。

(大場順子さんの投稿より)

 

フェースofワンダーの世界展について   「ナイアガラタイムズ大滝さんとの対談」


 ナイアガラタイムズの代表の大滝さんは、車椅子を自分でゆっくり動かしながら、仲間たちの作品をゆっくり観てくださいました。代表の金子が取材を受けるという形で始まりましたが、二人の対談という形になりましたのでご紹介します。

 

金子:この作品展、どのような感想を持たれましたか?

大滝:今年初めて、作品展の2日目に伺いました。お祭りのような雰囲気に飲み込まれてしまい、ひとつひとつの作品に向き合うということはできませんでした。ただ、いろんな人が関わってできているとのこと。