名前の意味を聞かれることが多い。
確かに分かりにくい。
直訳すると、「へんな面々・・・?」
かっこをつけると「すてきな仲間・・・」(笑)
フェースofワンダーが産声を上げたのは1993年頃。
当時、都立の特別支援学校に勤めていた金子光史が絵画や造形の好きな卒業生の表現活動の場として立ち上げたのが始まり。
活動場所は、夜の作業所なら空いているからいいんじゃないかと、学校近くの作業所にお願いして使わせていただくことができた。
呼びかけに応えて集まった卒業生たちは、それぞれの仕事場からの帰り、コンビニに寄って弁当やカップ麺を持って、夜の作業所にてんでばらばらに集まり、誰もいないフロアでラーメンをすすすったり、大音響で自分たちの好きな音楽をかけながら、自由に絵を描いた。
紙を持ってきていない仲間はチラシや古新聞に描いていった。
そこには「ゲージツするぞ!」という
気負いもなければ、先生くさい「指導」からも解放された自由なアート空間が存在していた。
フェースofワンダーの名前にはそんな不思議世界(アートの森)の自由な仲間たちという意味が込められている。
仲間たちの自由なアートスペースとしてスタートしたのが、いつの間にか口コミで自分たちの街にも同じようなアートスペースが欲しいという声が聞こえてくるようになった。
その理由はいろいろだけれど、障がいのある仲間たちと一緒に自分たちののスタイルで表現活動を楽しむことを大切にしている姿勢が共感を呼んでいるのかもしれない。
障がいのある仲間たちとのアートの交わりは、フェースofワンダー発足の前史を含めると40年以上にもなるが、2021年現在、町田や横浜、川崎、相模原、藤沢などのアートスペースや支援施設などのアートワークショップなどで小学生から還暦近い仲間たちとアートを楽しんでいる。
でも、どうか勘違いしないでほしい。
フェースofワンダーは障がいのある仲間たちのアートスペースと思われがちだが、本当は違う。
ここに集まっているのは、線や色彩で自分たちを表現することに喜びを感じて生きていこうとする人生の仲間たちなのだ。
障がいの有無なんて関係ない。
障がいのある仲間たちに触発されて仲間たちの保護者や学校の先生、学生も絵を描き始め、絵で生計を立てている「プロの作家」さんたちも気ままに一緒に絵を描くようになってきている。
そんな彼ら全てがフェースofワンダーの仲間たちだし、一緒にフェースofワンダーの森を作っている鳥や虫や草木なんだ。(光)