フェースofワンダーの歌1

不思議だよね。
歳をとると、感性なんかひからびて、干し肉みたいに硬くなるもんだと思ってた。
でも違うんだよ。
だんだん、それまで見えなかったものが見えてくる。
聞こえなかったものが聞こえてくる。
確かに筋肉は薄くなり、関節もきしみ、なめらかな動きは 難しくなるけれど、心はなめらかになってくる。
不思議なんだよね。
朝の日差しが澄んで くると、その中を鳥の声がキラキラ輝きながら刺繍みたいに風をぬっているのを発見したり、雨の日、大気がしっとり柔らかくなり、乾いたボクの皮膚や木々を包み、静かに静かに優しいものが染み込んできて、ボクらは一体化してくるのを実感したり・・・。
ま、そんな感じ。
歳をそんなにとっていないと思ってる人やとることを拒否している人には、寝言みたいにしか思えないたわいない喜びだけれどね。(笑)
そんなボクがやってみたいことがある。
それはフェースofワンダー仲間たちの表現をボクたちの言葉で歌にしてみたいということ。
たぶん、その言葉は大きな世界の小さな切れ端みたいな言葉、そうぞうしい世界では小さく小さく隠れてしまう恥ずかしがり屋の言葉・・・。
そんな言葉で歌を歌いたいっていう願い。
いままでは、そんな言葉が存在することにも気づかなかったけれど、いまはそんな言葉で世界は満ちあふれているんだと 分かってきた。
昔、ラ・マンチャの荒野で『ドン・キホーテ』旦那が見た夢を、老いたボクも見始めているのかもしれない。
見果てぬ夢。
ああ、どんな歌が生まれるのだろう?
たとえばこんな感じ?
よくはれた朝
キミの青はふふーんと背伸びし
赤はぐぐらん、ぐぐらん、
ダンスを始め
足もとの緑はしゅっしゅ、しゅっしゅ
床の箒かけ
キミが塗り残したキイロはまだねてるよ
よくはれた朝
世界はすべてのものに名前をつけるのに大忙しさ
ふふふ、何だかよく分からないね(笑)
年寄りのたわごと・・・。